つらつらと。

気まぐれですが、つらつらと。

「金曜日の本屋さん」ちょうどいい小説

日がな一日、憂いなくいられる。
それは理想の生活ではないかと。
だが結局、その優雅が私の性分に合わんのです。
私は与えられる理想より
刻苦して自力で掴む理想を求めているのだ。
こういう生活は
私の精神を養わない。

「金曜日の本屋さん」という小説の中に出てくる小説からの引用部分を引用。

けれど、その小説も実在しているらしく。

梨木香歩の「家守綺譚」の中の短編「葡萄」からの引用のよう。

今度はこれを借りて読んでみようか。

「金曜日の本屋さん」の著者は名取佐和子さん。知らなかった。結構古い本なのかなと思いきや初版が2016年8月18日。3年前のちょうど今日。

この本との出会いは嬉しかった。

病院の待ち時間に読もうと、病院に行く途中に図書館に寄って結構真剣に選んで手にした一冊。

小説を読んだのは何年かぶりで、近年は自己啓発本やエッセイばかり読んでいたんだけど、在宅勤務のため家族以外との会話がほぼない生活をしている私にとって、小説はコミュニケーション能力の低下の予防に有効かもしれない!と思った。テレビドラマでもいいのかもしれないけど、登場人物の心の内や情景の描写がある小説の方がいい。ずっと読みたかったけどたくさんある本の中から何を基準に選べばいいのか、当たり外れもあるだろうし、ジャンルも決め切れずなかなかきっかけがなかった。

今回のこの小説は本当当たりだった。

恋愛ものでもなくハードボイルドでもなく推理小説でもない。普通に暮らす人の職場での話、家族、仲間との関係や思い、生い立ちにおいての痛みや悩み。

自分はどうだろうと、自分のことを見つめ直したりもした。

本が好きというのは著者はもちろん、このタイトルの小説の登場人物、私も。

短編にわかれて何章かあるだけと思いきや、最後大きな展開もあり。登場人物も個性的で魅力的で楽しかった。

一度読んでみてほしいなと思う。学びは一つは得られると思う。

金曜日の本屋さん (ハルキ文庫)

金曜日の本屋さん (ハルキ文庫)